08.逸失利益

01.【逸失利益】そもそも逸失利益とはどういうものですか?

交通事故によって、「死亡」したり「後遺障害」が残存したりした場合に、交通事故に遭わなければ得られたであろう利益の、金銭的賠償を指します。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

02.【計算方法】逸失利益はどのように計算されますか?

逸失利益については、「後遺症による逸失利益」と「死亡による逸失利益」に大別されます。後遺症による逸失利益については、被害者の身体に後遺障害が残り、労働能力が減少するために、将来発生するものと認められる収入の減少です。被害者の事故前の収入の金額(基礎収入)に、後遺障害による被害者の労働能力の喪失の程度(労働能力喪失率)を乗じ、その状態が継続する期間(労働能力喪失期間)の年数に応じた中間利息の控除を行って算定されます。また、死亡による逸失利益については、被害者が死亡しなければその後の就労可能な期間において得ることができたと認められる収入の金額(基礎収入)から、支出されたであろう生活費を控除し、就労可能な期間の年数に応じた中間利息の控除を行って算定されます。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

03.【基礎収入】Q.02で説明された「基礎収入」について、教えて下さい。

逸失利益算定の基礎となる収入は、原則として、事故前の現実収入を基礎とします。但し、将来現実収入額以上の収入を得られる立証があれば、その金額が基礎収入となります。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

04.【会社員】会社員の場合の「基礎収入」はどのように考えますか?

会社員の場合は、原則として、事故前の収入を基礎として算出しますが、現実の収入が賃金センサスの平均額以下の場合には、平均賃金が得られる蓋然性があれば、その金額によります。なお、事故時概ね30歳未満の若年労働者の場合には、学生との均衡の点もあることから、全年齢平均の賃金センサスを用いることも少なくありません。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

05.【事業所得者】事業所得者の場合の「基礎収入」はどのように考えますか?

自営業者、自由業者、農林水産業などについては、申告所得を参考にするが、同申告額と実収入額が異なる場合には、立証があれば実収入額を基礎とされます。
所得が資本利得や家族の労働などの総体のうえで形成されている場合には、所得に対する本人の寄与部分の割合によって算定されます。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

06.【会社役員】会社役員の場合の「基礎収入」はどのように考えますか?

会社役員の報酬については、労務提供の対価部分は認容されますが、利益配当の実質をもつ部分は消極的です。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

07.【主婦(主夫)】主婦(主夫)の場合の「基礎収入」はどのように考えますか?

賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均賃金額を基礎とされています。
有職主婦の場合、実収入が上記平均賃金以上のときは実収入により、平均賃金より下回るときは平均賃金により算定されます。残念ながら、家事労働分の加算は認めないのが一般的です。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

08.【学生等】学生・生徒・幼児等の場合の「基礎収入」はどのように考えますか?

賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別全年齢平均の賃金額を基礎としております。
女子年少者の逸失利益については、女性労働者の全年齢平均賃金ではなく、男女を含む全労働者の全年齢平均賃金で算定するのが一般的だと言えます。
なお、大学生になっていない者についても、大卒の賃金センサスが基礎収入と認められる場合がありますが、この場合には、就労の始期が遅れることから、全体としての損害額が学歴計平均額を使用する場合と比べて減る場合もあるので注意が必要です。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

09.【高齢者】高齢者の場合の「基礎収入」はどのように考えますか?

就労の蓋然性があれば、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女別、年齢別平均の賃金額を基礎とします。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

10.【失業者】失業者の場合の「基礎収入」はどのように考えますか?

労働能力及び労働意欲があり、就労の蓋然性があるものは認められます。再就職 によって得られるであろう収入を基礎とすべきで、その場合、特段の事情のない限り、失業前の収入が参考にされます。但し、失業以前の収入が平均賃金以下の場合には、平均賃金が得られる蓋然性があれば、男女別の賃金センサスによります。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

11.【労働能力喪失率】「労働能力喪失率」について教えて下さい。

後遺症による逸失利益の場合に問題となるものですが、労働能力の低下の程度については、労働省労働基準局長通牒(1957.7.2基発第551号)別表労働能力喪失率表を参考とし、被害者の職業、年齢、性別、後遺症の部位、程度、事故前後の稼働状況等を総合的に判断して具体的にあてはめて評価されています。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

12.【労働能力喪失期間】「労働能力喪失期間」について教えて下さい。

  1. 労働能力喪失期間の始期は症状固定日とされています。未就労者の就労の始期については、原則18歳となりますが、大学卒業を前提とする場合には、大学卒業時となります。
  2. 労働能力喪失期間の終期は、原則として67歳とされています。症状固定時の年齢が67歳を超える者の場合には、原則として、簡易生命表の平均余命の2分の1を労働能力喪失期間としています。 症状固定時から67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の2分の1より短くなる者の労働能力喪失期間は、原則として平均余命の2分の1とされています。但し、実際の裁判では、労働能力喪失期間の終期は、職種、地位、健康状態、能力などにより、上記と異なった判断がされることもあります。
  3. むちうち症の場合には、12級で10年程度、14級で5年程度に制限する裁判例が多く見られます。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

13.【中間利息控除】「中間利息控除」について教えて下さい。

逸失利益は、将来長期間にわたって取得するはずであった利益を現在の一時金で支給するためのものであることから、中間利息を控除して算定されることになります。方式については、ライプニッツ式とホフマン式があります。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

14.【生活費控除】「生活費控除」について教えて下さい。

被害者が死亡した場合、存命であれば必要であった収入を得るための生活費の支出を免れることから、損益相殺の考え方に基づき、逸失利益の算定に当たり、被害者本人の死亡後の生活費を控除することになります。もっとも、実際にどの程度控除するかについては、被害者の所得、生活状況、被扶養者の有無、人数、性別等を勘案して判断されていますが、いわゆる赤い本等では目安が紹介されています。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

© しまなみ法律事務所_交通事故サイト