11.高次脳機能障害

01.【高次脳機能障害】高次脳機能障害について教えて下さい。

頭部外傷により意識障害を負った者が、治療の結果意識を回復したが、意識回復後に認知障害(記憶障害、集中力障害、遂行機能障害、判断力低下、病識欠落等)と、人格変性(感情易変、不機嫌、攻撃性、暴言、暴力、幼稚性、多弁、自発的低下、病的嫉妬、被害妄想等)を生じ、社会復帰が困難となる後遺障害をいいます。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

02.【判断方法】判断方法について教えて下さい。

高次脳機能障害の判断にあたっては、①事故により頭部に外傷を生じたこと、②受傷後の意識障害、③意識回復後の認知障害及び人格変性、④第3脳室の拡大や脳の全体的な萎縮がMRIで認められることが、基本的な要素になるとされています。
このうち、②受傷後の意識障害については、意識障害の程度が重く、半昏睡から昏睡で開眼・応答しないような状態、すなわちJCS(ジャパンコーマスケール)で3桁、GCS(グラスゴーコーマスケール)が8点以下の状態が6時間以上存在した場合には、予後が悪く高次脳機能障害を残すことがあるとされており、また、健忘症又は軽度意識障害、すなわちJCSが2桁、GCSが13~14点が1週間続いた場合も、高次脳機能障害が残ることがあるとされています。
また、③意識回復後の認知障害及び人格変性については、WAIS―R(脳の全般的な機能の検査)、WMS-R(記憶に関する検査)等の神経心理学的検査が参考とされています(以上につき、LP交通損害関係訴訟補訂版青林書院P161参照)。具体的なことは弁護士にご相談下さい。

03.【後遺障害等級】高次脳機能障害についての、後遺障害等級について教えて下さい。

労災制度の運用に準じて2001年以降に整備された自賠責制度の運用においては、常時介護を要するものが1級、随時介護を要するものが2級とされているほか、3級、5級、7級又は9級に区分されます。
3級から8級の後遺障害認定基準はやや抽象的ですが、自賠責制度の運用においては、等級認定の補足的な考え方として、次のとおり説明されています。
1級 身体機能は残存しているが、高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的な介護を要するもの
2級 著しい判断能力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には、排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの
3級 自宅周辺を一人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また、声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし、記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
5級 単純なくり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。但し、新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続することができなくなる等の問題がある。このため、一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
7級 一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから、一般人と同等の作業を行うことができないもの
9級 一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの
具体的なことは弁護士にご相談下さい。

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