12.死亡の場合
01. 【死亡した場合の損害費目】死亡した場合に被害者が請求できる主な損害費目を教えて下さい。
これまでのQ&Aと重複するところはありますが、死亡による逸失利益、被害者本人の慰謝料、遺族固有の慰謝料、葬儀費用が主なところです。具体的なことは弁護士にご相談下さい。
02. 【定期金賠償】死亡による逸失利益の場合も定期金賠償(民訴117条)が認められますか?
定期金による賠償については、積極的な判例(東京地判2003年7月24日)と、消極的な判例(東京高判2003年10月29日。大阪高判2007年4月26日)があります。具体的なことは弁護士にご相談下さい。
03. 【慰謝料の増額事由】死亡による慰謝料を増額することは可能ですか?
以下のような事情が主張立証された場合には、一般的な場合よりも増額されることがあります。①加害者の過失が重大または事故態様が悪質な場合、②加害者の事故後の態度が著しく不誠実な場合です。具体的なことは弁護士にご相談下さい。
04. 【遺族固有の慰謝料】遺族固有の慰謝料について教えて下さい。
被害者が死亡した場合に、遺族固有の慰謝料が請求できる主体は、民法711条で、「被害者の父母、配偶者及び子」に限定されています。内縁の配偶者も、民法711条の類推適用により主体と考える見解が通説です。
もっとも、祖父母、孫又は兄弟姉妹については、個別の事案において慰謝料の賠償が認められるか否か、認められるとした場合にその金額にいかほどとするのが相当かの判断にあたり、被害者との間に特別に密接な関係があったかどうか等が問題となり、その点の具体的な主張立証責任が問題となります。当事務所が被害者側に関与した松山地判今治支部2015年3月10日は、被害者と20年以上にわたって同居してきた弟に、固有の慰謝料として100万円を認めました(交民第48巻第2号P367)ので、ご紹介させていただきます。
具体的なことは弁護士にご相談下さい。
05. 【内縁、相続の放棄者】死亡した被害者の内妻や、相続の放棄をした者は、遺族固有の慰謝料の他に加害者に対して何か請求できませんか?
被害者の内縁の配偶者、相続放棄をした者等は、死亡した被害者の相続人として損害賠償請求権を行使することはできませんが、交通事故により死亡した被害者によって扶養を受けていた者は、加害者に対して、その固有の利益である扶養請求権の侵害につき賠償を請求することが可能です(LPS交通損害関係訴訟「補訂版」青林書院P90参照。)。具体的なことは弁護士にご相談下さい。
06. 【葬儀費用】葬儀費用について教えて下さい。
葬儀費用については、裁判所基準によれば、原則として150万円とされています。但し、これを下回る場合は、実際に支出した額になります。香典については損益相殺を行わず、香典返しは損害と認められておりません。具体的なことは弁護士にご相談下さい。